SKEN

卒業研究

[・音楽制作についての考察]

音楽デザイン専修に入学して、まだ自分のしたいことがまとまっていない人に少しでも将来の選択肢が増えるよう、視野が広くなるように私が4年間で培った技術と考え方を文章で残したい。


こちらでは表現者として音楽で感動を与えたいという人に読んでほしい。
私は、バンドのドラム担当として活動してきた。その経験から、ドラムという楽器を楽曲の中で最大限に活かす方法を、持論にはなるが展開していきたい。
 ドラムが打ち込みであろうが生音だろうが変わらないのは、楽曲のリズムを作り、曲の変化の起点となり、ダイナミクスを表現しなければならないという点だと考える。 オリジナル楽曲のドラムパートを考えるときに、何が正しい、何から考えるのが正解などはないが、1つの例として挙げる。 まずは曲全体のリズムのイメージから、共通して使いたいリズムを導き出す。歌のメロディーが決まっている場合は、歌メロにどこまで寄せていくのか。または、まったく無視するのも悪くはないと思う。
他の楽器が入り、音符同士がぶつかることで本当に必要な音なのか、他の楽器と明らかにずれているところがないか、必要なのに入ってない音があるのではないかというところまで見えるかどうかも大切だ。1つの曲にここまで、さらにはもっと掘り下げて向き合っていくことを出来る人と出来ない人では、かなりの知識や引き出しに差がある。音楽はそこまで考えて作るものではなく、感覚や感性で生み出すものだと考える方もいるだろう。その考えも正しいだろう。しかし、この考え方はそれらを磨く事にもつながると考えられる。

音楽は頭で考えるだけでなく、感覚だけで作れるところもおもしろい点だと思う。自分にはどちらがあっているか、自分にはどちらがあっていないか、そんなことは考えなくていい。自分が思うがままに正しいと思うことを続けて欲しい。音楽を作り、表現していく中で色んな壁があり、様々なことを言われると思う。大衆向けに何かを発信すればするだけ批判されることや、相手の考えを押し付けられることもあるだろう。多くの人が言う様々な異なる意見の中から正しいと思うものを選んで、成長していくことはもちろんだが変わらずにずっと自分を表現してほしい。

[・結論]
音楽でご飯を食べていきたい人や、音楽を趣味や一生の娯楽として続けたい人もいると思う。私が大学生の4年間、長いようで短い4年の間には何度も夢に破れ、何度も立ち上がれないような挫折を味わった。この先、将来が不安になったり、周りの誰かに聞きたくない武勇伝を延々と聞かされたり、音楽業界も廃れて未来はないとか夢のない話を聞かされたり、楽しいことがそれだけでは続けられないと感じてしまうこともあるだろう。「楽しいだけでは続けられない」、と辞め諦めていく仲間も沢山いるだろう。そんな仲間を見て、自分もだめかもしれない、自分には才能がないからと決めつけて諦めることはしないでほしい。就職をしながら素敵な音楽を続けたって良い、音楽から離れて生活したって良いだろう。今の自分が信用できなくて将来に不安があって、それでも音楽の夢を諦めたくないと思うならどんな形でも続けてほしい。しかし、どんなに苦しくても追い込まれていても音楽の夢を持った、目標がある、あったことを誇りに思って、どんな時だろうと自分には音楽があると強気で生きていくといい。夢を持って生きるということは、それだけで人よりも何倍も人生を楽しく素敵なものにしてくれる。

[・映像作品についての考察]

これから音楽デザイン専修に入学したいと考えている方と、現在音楽デザインで映像作品を作りながら壁にぶつかってしまった方に向けて文章を書いていく。

こちらでは映像作品を通して感動を与えたいという人に読んでほしい。
まずは、私が大学で最後に制作した映像作品を見てほしい。

この映像を見て貴方はどこに目が行くだろうか。作品としてみることが出来る方々、製作者側の目線で見ることが出来る方もいるだろう。ここからは、製作者側の目線でこの映像を見ていきたい。

機材について簡単に話していこう。この映像作品を作るために使用した機材は、一眼レフカメラ、GoPro、LEDパーライト、発電機、楽器、カメラマン、もっと細かく言えば、LEDを立てるおべた(照明機材を床に置くためのスタンド)、電源タップ、ジンバル(スタビライザー)、そして動画編集ソフトとパソコンである。もっと細かくも言えるが、ここでは機材ではなく技術や考え方について書こうと思う。機材はこういったものがあれば撮影が出来るのだなと簡単に頭に入れておいてほしい。
 
最初にしなければならないことはカメラを持ってすぐに撮影に出かけるのではなく、長さの決まった映像を作る際に気を付けたいのは可能な限り「このシーンではこういう映像を使いたい」といった、動画の流れを絵コンテなり頭の中で思い描いておくなりした方がいい。そうすることで、次の素材へと撮影がスムーズにいくだろう。
次に、考えた絵コンテに沿って使いたい素材を撮影して集める。撮影の時はできる限り手振れを抑え、白飛びしないよう、ノイズが乗らないように明るさを上げ、ズームを使わずにカメラマンが近づいて撮影するといい。左右どちらから撮るか、目線の高さでいいのか、下からのアングルで少し特徴的な画を撮るか、上からのアングルで撮影するかなど、細かい技術はカメラを触りながら覚えていく。後から編集で過去出来るとおろそかにせず、出来るだけカメラの中で解決しておくことをお勧めする。複数のカメラで撮影する場合は、フレームレートや映像の画質も必ず揃えておくこと。

1つのカットは長くても2秒間しか使わないため、多くの角度アングル、距離で撮影したデータがあることが望ましい。しかし、多すぎても統一感が無く、ただ動きが多い映像という印象を与えてしまうため、量ではなく質を意識してほしい。 編集の段階で絵コンテに沿った映像を使うものの、手振れや思った構図と違った所など使えないと判断した部分は空けておく。編集を進めるうちにそこに差し込みたい映像が決まってくるだろう。絵コンテに沿って作っていくなり、絵コンテ通りにいかないもよし、先ずは映像を思うように並べていくことが重要だ。
では、次は編集時の色味の話をしたい。下の動画を見てほしい。

この映像は前半と後半で色味を大きく使い分けている。色の三原色と言われる、赤(R)、緑(G)、青(B)の三色のバランスで色味を変えているが、前半はできる限り白に近く、青っぽく爽やかになるように赤を多めに緑を若干抜いている。赤みを抜けば、ただ撮っただけの映像よりも綺麗で鮮やかになる気がする。作りたい映像に合わせて色味を変えてみるのが一番簡単に映像の印象を変えることが出来る方法だと考える。並べ終わった映像素材の一番上に調整レイヤーを置き、そのレイヤーにRGBを編集できるエフェクトを足せば色味の変更も思うままにできるようになる。

[・結論]
文字に起こせばそれほど大変な作業には感じないが、実際にやってみると終わりがなくああでもないこうでもないと考えてしまう。しかし、自分の感性のままに進められるということは楽しいことなので、まずは考えすぎずに自分を信じて挑戦するといいだろう。いろんな経験をしながら多くの知識をインプットし、たくさんの作品を生み出してほしい。そして、音楽デザインで学んだ内容や掴んだきっかけを一生大切にしてどこかで役立てながら生きていってほしい。

[・総論]

音楽制作にも映像制作にも共通しているのは、自分の感性を信じ、素晴らしいと思えるものを生み出していくという点だと私は考える。しかし、ゼロから何かを生み出すには、多くの経験や失敗をして感性を磨く事や、自分を表現する為の技術を磨く事が必要不可欠だ。その為にも、これからの大学生活では様々なことに興味を持ち、挑戦し、数えきれない程の失敗を繰り返しながら経験を重ね、感性豊かな世界にたった一人のクリエイターを目指してほしい。

PROFILE

1st Single 「嘘と心」

2nd Single「アネモネ」

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