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はじめに

今回、私は『優れた音楽的感覚の体得と年齢の関係性』というテーマの元、考察を行なった。
このようなテーマにした理由には、私の人生が高校生の年齢になるまで音楽とほぼ無縁だったことが関係している。
私も、小・中学校における音楽の授業は受けている。しかし、あれらをもって優れた音楽的感覚を得ることは難しいだろう。
自由に楽器を触ることもできなかったし、嫌々やらされるにしても適当にやっていればよく、特段に厳しいわけでもない。
演奏技術や音楽的感覚を身につけるというよりも、協調性を重視したものだったと感じている。
自発的に音楽へ興味を持って勉強をしたり、誰かに強制されたとしても、それが厳しいものでなければ「音楽を始める」ことは難しいだろう。
私の場合は、それが高校生の時だった。
軽音楽部に入部し、ドラムを演奏するようになった私は、そこで初めて音楽を楽しいと思え、自発的に勉強をするようになった。
ただし、旋律楽器であるギターやピアノにしっかりと触れたのは高校の終盤である。
そのような人生を歩んだ私は、大学に入った後、より幼い時期から音楽に親しんできた人間と接する際、特に旋律的な感覚において、どうすることもできない壁を感じることが多々あった。
例えば、聴音や新曲視唱などがこれに当たる。
彼らは、教員の弾く音を耳で聴くだけですぐに記譜することができたし、その場で初めて渡された楽譜を見てメロディーを歌ったり弾くことができた。
音楽の道を行く者としてはできて当然とされることかもしれないが、私にとってはもはや超能力の域である。
彼らのような正確で鋭い感覚を大人になってから身につけることはほぼ不可能に近いだろう。
これは、演奏技術や作曲センスなどにも言える。
より早期に音楽を始めた人間と、それなりに年を取ってから始めた人間とでは、単純な努力では越えられない壁が確かにあるのだ。
では、この壁はいったいどこにあるのだろうか。
それを探る方法として、著名な音楽家たちが音楽を始めた年齢を使うことにした。
そのデータを元に、どの辺りの年齢から音楽を始めれば、優れた音楽的感覚を得られる可能性があるのかを導き、考察を行なう。
また、今回は一部のクラシック音楽家に限っている。
以下がその内容である。

研究内容

資料01 資料02 資料03 資料04

考察・結論

今回、私が収集した音楽家のデータでは、平均年齢が6歳ということになった。
また、年齢を「幼少期」としている人物は、平均を求める際に除外している。
年齢を明記している人物においても、例えばヨハン・シュトラウスⅡ世やボロディンなどは作曲を始めた年齢であり、それ以前から音楽を始めていた可能性は高い。
つまり、実際の平均値はさらに下回ることが予想されるが、今回は平均年齢6歳であるものとして考察を行なう。
(日本での6歳は、小学校入学前後)
まず、データを見て目につくのは、年齢が2桁の人物がガーシュウィンの一人しかいないことである。
しかも、その彼ですら6歳頃には音楽に触れていた可能性が高く、そうだとするならこの中で10歳以降に音楽を始めた人物は0人ということになる。
(日本での10歳は、小学校4~5年生)
もし、それ以降からでも彼らと同等の音楽的感覚を得られるというのであれば、他に数人くらいはいてもよいはずである。
しかし、前述の彼を除き、このデータにそのような人物は存在しない。
21歳から本格的に音楽教育を受けたとされるチャイコフスキーですら、5歳の頃にはピアノを始めている。
仮にその経験がなく、趣味としてのピアノもやっていない同一人物が21歳から勉強をはじめたとしても、その才能が発揮されることはなかっただろう。
また、その他にデータを見て感じるのは、両親や親族に音楽家を持つ人物が非常に多いということである。
彼らの生きた時代に、幼い頃から音楽に触れさせることができたという時点で当然なのかもしれないが、やはり環境も重要なのだろう。
音楽の才能が遺伝する可能性も考えられるが、その点において今回は考察をしない。
ただし、いくら才能があったとしても、早期からの音楽経験や環境がなければその力を発揮させることは難しいだろう。
以上をまとめると、
優れた音楽的感覚を持つ人物の多くは6歳頃に音楽を始めており、10歳以降から始めた者は非常に稀である。
また、環境にも恵まれており、親や親族が音楽家である場合が多い。
ということになる。
今回の結論を導くために重要なのは前者であり、そこから壁の場所を探ることができるだろう。
つまり、優れた音楽的感覚の体得を左右する壁は10歳辺りに存在している。
そして、それ以前に音楽を始められなければ、その壁を超えることは非常に困難なものとなる。
以上が私の考察と結論である。

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