はじめに
EDMと聞いてどのような楽曲を想像するだろうか。
EDM(Electric Dance Music)という言葉を聞いたことがない人がいるかもしれないが、平たく言えばシンセサイザーやシーケンサーを用いたダンスミュージックの総称である。
しかし一言でEDMと言っても様々なジャンルがある。
多くの楽曲がジャンル分けされる中、EDMでも細分化してジャンルが形成されている。
ここでは代表的なEDMについて紹介していく。
EDM初心者の手助けになればと思う。
予備知識
その前に予備知識としEDMでよく使用される言葉について解説をしておく。
House
これはHouse Musicの略称であり1977年にアメリカのシカゴ州で誕生した音楽ジャンルのことである。主に70年代のディスコやソウルを起源としている。特徴としてはBPM120-128程度の四つ打ち(テンポが128で四分音符のタイミングでkickを鳴らすこと)の楽曲である。
後述するDeep Houseと似ている部分があるので非常にややこしい点がある。
ただ現在におけるHouseミュージックというとテンポ128 の四つ打ち楽曲のことであると認識されるだろう。
シンセサイザー(Synthesizer)
オシレーターと呼ばれる音を発生させる電子回路を用いて音を作ることのできる楽器の総称。その名の通りSynthesize(合成する)という英語が語源である。
ダンスミュージック特有の機械的な音や金属的な音はほとんどがシンセサイザーを用いて制作されている。
Verse(バース)
一般的な曲のイントロやAメロに該当する。しかし曲によっては非常に短いので実際には明確に決まっていない。
曲の導入部分という認識で問題はない。
Break(ブレイク)と間違えやすいので注意すること。
Drop(ドロップ)
EDMにおけるサビのことジャンル別紹介
Bigroom
このジャンルは現在のダンスミュージックの親的な存在である。
特徴としてはHouseと同じようにBPM128前後で四つ打ち。
太いベースが特徴で体の芯に響いてくるようなまさにダンスミュージックを体現したようなジャンルである。
代表曲
David Guetta & Showtek - Bad ft.Vassy
Bounce
こちらもBPM128前後で四つ打ちであるということは同じだが、大きな特徴は
四つ打ちKickの裏拍でベースがなることが多いことだ。
この裏拍により曲がのっぺりしたものから跳ねるようなリズムになる。
こちらも人気のジャンルだ。
派生ジャンルの一つにFuture Bounceというものがある。
代表曲
TJR & VINAI - Bounce Generation
Deep House
予備知識で記述したHouseと起源がほぼ同じため元来のHouseミュージックとも呼べるかもしれない。
ディスコやソウルにドラムマシーンなどのシンセサイザーを用いて演出したこのHouseは気付けばDeep Houseと呼ばれるようになった。
Houseを知りたいならこのジャンルは聞いておくべきである。
もととなったソウルなメロディが特徴でDeepの名の通り激しい音はあまり使用されない。
代表曲
Tiësto & Ava Max - The Motto
Tropical House
Thomas Jackというプロデューサーが名前をつけたジャンルである。
前述したDeep Houseのサブジャンルになる。
構成自体はDeep Houseの派生形のため似ているが、名前のTropicalの通りマリンバ等の透き通ったサウンドが使用されることが多く夏を感じることができる。
代表曲
Kygo - Undeniable
Future House
Houseの派生ジャンルの一つである。
Tchamiというフランス出身のプロデューサーが名前をつけたジャンルである。
それまでの伝統的なHouseとEDM のElectricな部分を合体させた金属的な音が特徴の楽曲が多い。
代表曲
Don Diablo – Momentum
Progressive House
Houseの派生ジャンルの一つである。
Progressiveとはもともとロックミュージックのメジャースタイルと実験的な形式を分けるために使用されるようになった言葉である。
そのため意味合い的にはどのようなことをやってもOKのようなジャンルだが昨今の楽曲ではDrop(サビ)がメロディアスでポップな曲が多い。
フェスなどのアンセムでの採用率も高く多くの人が楽しめる人気のジャンルである。
代表曲
Martin Garrix feat. Bonn - High On Life
Future Bass
Drop(サビ)でハーフテンポになることが特徴。
多くのEDM楽曲とは違いコード進行感がとても強い。
後述するDubstepなどとは違い、荒っぽいサウンドはあまり採用されず、浮遊感の感じられるシンセサウンドが多用される。
日本でも大流行したEDMジャンルのひとつである。
派生形にKawaii Future Bassというものが存在するがこれは、Future Bassに8bitサウンドや女性のかわいらしいボイスサンプルを取り入れたものである。
Snails Houseという日本のプロデューサーが先駆者となっている。
代表曲
The Chainsmokers, ILLENIUM - Takeaway (Official Video) ft. Lennon Stella
Dubstep
レゲエの派生であるダブとHouseの派生である2Stepが合体したジャンルである。
今までにない実験的なサウンドやテンポが一定でなく不規則に変化することが特徴である。
中でも前述したFuture Bass同様Drop(サビ)でのハーフテンポが多用される。
しかしFuture Bassとは違い金属的なサウンドやScreech(金切声)サウンドのような荒々しいものが用いられる。
代表曲
Datsik & Virtual Riot - Nasty
Hardstyle
オランダで生まれたガバというジャンルが元となっている。
テンポは150-160前後で、キックとベースが融合した歪んだHardstyle Kickというキックサウンドが特徴である。
リード、ベース、キックどれをとっても歪んでいる。
派生形ではないがテンポ165以上の楽曲の多くはHardcore technoというジャンルとして扱われる。
間違えないようにしておきたい。
代表曲
D-Block & S-te-Fan and D-Sturb - Feel It!
Trance
こちらもHouseからの派生と呼ばれている。
呼ばれていると言う曖昧な表現になってしまうのはTechnoの派生も否定できないからである。
今回は有力なHouse派生という解釈で説明する。
意味は繰り返されるメロディにより脳が幻覚や催眠を催すトランス状態というものから来ている。ある種ハイになるといったことだろうか。
テンポは120-150程度と決して速くないが特徴的なノコギリ波のシンセサイザーサウンドに中毒性があり楽曲のアップダウンは激しくないがどこか飲み込まれてしまいそうになるジャンルだ。
代表曲
Armin van Buuren & Jorn van Deynhoven - Lost In Space
まとめ
今回紹介した物はほんの一部で、私自身EDMとしてどのジャンルを取り上げようかと迷うくらい種類が豊富で、派生形が多い。
「〜が名前をつけた」と記述した通り、楽曲を作った本人がこれはこのジャンルだと言ってしまえばそうなってしまう。
(最近ではDubstepやFuture Bassからの派生であるColor Bassというものが出てきた。
これも作ったプロデューサーが自身が作っているジャンルをこう称したためである。)
EDMと一言にいっても奥が深いのだ。
私の作ったProgressive Houseもぜひ聞いてほしい。