【主題】独自のオリジナル
アレンジを求めて

【考察の背景】

近年インターネットが益々発展し、ネットを通して音楽を発信していく人が増えているこの世の中、ストリートピアノや生配信など様々な形を通して活動している人も少なくない。 人気の曲やその時代に流行った曲などにより選曲が被ることが多々あるが、演奏者ひとりひとり独自のアレンジ方法がある為、聴いている人々が飽きないという利点が生まれる。
これらを踏まえてアレンジにはどのような演奏法があるのか、そしてどのようにしてオリジナル演奏が生まれるのか定義したいと考えた。

【考察】

アレンジの代表格、プロピアニストとして活躍する「まらしい」の演奏法 原曲をピアノで1から楽譜に起こしオリジナルアレンジして演奏するプロで活躍するまらしいさん。彼はピアノ講師との関係がかみ合わず一度ピアノから離れるが、ネットを通して仲良くなった当時の友人から、「この曲をピアノで演奏できるか?」と議論になり新たに独学で再開し、そこから絶大な人気を誇り今も独自の演奏法で人々を魅了するピアニストである。まずは、曲調の違う以下の2つの動画のアレンジを意識しつつ聴いてほしい。


1つ目に聴いて頂いた曲はまらしいさんの大人気のアレンジ曲である「千本桜」という曲である。この曲はBPM=154という早い曲調であり、この演奏法の左手を見てほしい。基本スタイルが8分音符を重音で交互に弾きつつ、さらに11音を加えることで勢いを表現している。
2つ目に聴いて頂いた曲は「夢、時々…」というまらしぃさんのオリジナル曲である。この曲は静かで落ち着いた曲調の為、根音を重音でとり、1オクターブ上を長3度でとることにより穏やかさが生まれるとともに音の強さや深みをプラスさせる演奏術になっている。

アレンジするうえでの重点 まず1つ目に重要なのは、原曲の音程、構成、雰囲気、抑揚などをしっかりと分析することである。原曲をオリジナルでアレンジする為にまず絶対条件になってくるのが、曲をしっかりと覚えることであり、覚えられるまでに何回聴くかは人によって様々ではあるが、繰り返し耳にすることにより人間は曲をインプットすることが出来る。この作法は、好きな曲をリピートで聴いてしまう形や街中を歩いている中で毎日自然と耳に入ってくる形などと似たような作法になる。曲の構成を理解し、メジャーなのかもしくはマイナーなのか、曲の雰囲気に加え激しめな曲調なのか将又優しい曲調なのかなど曲の全体像を理解することが非常に大切である。

2つ目に重要な点としてメロディー(右手)、もしくはベース(左手)のどちらか片方ずつ音をとる手法である。その理由として、片方の音を取ることが出来ればその後の音取りの作業が行いやすいためである。既存の楽譜を演奏する際は小節ごとに区切って両手で合わせていくが、オリジナルで音を取る場合、小節ごとに両手で合わせる演奏法をとった場合、曲全体の曲調を捉えにくい欠点がある為あまり推奨はされていない。

3つ目に重要な点としてある程度原曲に近づくことが出来れば、聴いている人々を惹きつけるようなアレンジを加えてみたり、テンポを変えてみたり、敢えて原曲にはないコードを使ってみたりなどオリジナル演奏だからこそ出来ることを存分に発揮することが大切である。

【結論】

最初は原曲を聴いてゼロからスタートし、仕上げていくやり方は中々ハードルが高いと思われる。しかし、今回の考察で得られた結論として自らのオリジナルアレンジを完成させる過程で必要なことは、日頃からやっていることに少し発展問題を追加したような形であることが分かった。ハマった曲をリピートで聴き続け、原曲を覚える。そこから自らのオリジナルアレンジの為に演奏法や構成、雰囲気や抑揚などの発展問題を積み重ねることによって完成するのである。一言で言ってしまえば誰もが経験したことがあることにプラスアルファするとでもいえるだろう。

【総論】

オリジナルアレンジの発想は本当に無限大である。同じ曲でもアレンジが違うだけで中身がガラッと変わり唯一無二なアレンジが完成するのだ。また、楽譜に縛られることがなく、自分の思い描いたように演奏できる為達成感も何倍も得ることが出来るであろう。最初は難しいことの連続かもしれないが、このアレンジに関する知識が身につけば、作曲や編曲などにも有利な方向に進める。ぜひ、ピアノとは限らず、様々な楽器で自身が思う素敵なオリジナルアレンジを作り上げてほしい。