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くらしき作陽大学 音楽学部 音楽学科 音楽デザイン専修 2031048 大谷清貴
1.はじめに
私が小学校高学年の頃、姉がYouTubeで見ていた「Goose house」というアーティストの動画をたまたま一緒に見たことで、それ以来自分でも見るようになり、どんどん好きになっていった。しかしどこが好きなのかと訊かれると、彼らの歌が好きなのは勿論だが、それだけなら他のアーティストたちと何ら変わりはない。小さい頃から音楽が大好きで、特に歌うことが好きだったが、これといって好きなアーティストはいなかった。しかし「Goose house」に出会って、いつも全力で音楽を楽しんでいることが伝わってきて、とても惹かれた。その後しばらくして、「世界一音楽を楽しむ場所」をモットーにしていると知り、惹かれた理由が分かった。そこで、彼らの言う「世界一音楽を楽しむ」とは何なのかを研究することにした。
2.研究方法
現在、「Goose house」のYou Tube動画が767本公開されている。その内オリジナル曲は57本ある。YouTubeに投稿されていない曲も含めると、約800曲はある。その中から、特徴的な3本について分析し、考察する。
2-1.「Goose house」について
日本の音楽グループ。2011年より始動した「ウォークマン」PR企画〈PlayYou.House〉で出会ったメンバーによって結成。異なるミュージシャン同士が“ハウス”と呼ばれるシェアルームに集って音楽活動を行なう。名前は1羽ではできないことも群れならできるということを期待して“渡り鳥の雁”から命名。動画配信を中心にライヴやグッズ販売など多岐にわたって活動を展開。2014年のシングル「オトノナルホウヘ→」でメジャー・デビュー。以降、メンバーチェンジを重ねながらコンスタントに作品を発表。2018年の『Flight』でアルバム8枚を数える。
引用:2013/11/26 (2018/05/14更新) (CDジャーナル)
普通のアーティストがテレビなどのメディアを活動の場にするのに対して、Goose houseはインターネット上の動画配信サイト、UstreamやYouTubeを通じてオリジナル曲やカバー曲を配信している。また、Ustream放送中にもTwitterを通してファンとの交流をはかるなど、SNSなどのインターネット上を活動の拠点としていた。
メンバー全員が作詞作曲ができ、グループでの楽曲制作も各メンバーが作成した楽曲を全員で審査し、話し合いつつ完成させている。活動末期には外部の作曲家も制作に参加していた。しかし楽曲の作者は初期の楽曲を除き一切明かされておらず、後述のPlay.Gooseの発足後に一部の楽曲の作者、制作背景がメンバーの口から語られるようになった。
グループとしてのGoose houseは現在活動休止状態にあり、現在は過去にGoose houseに在籍していたメンバーによる新企画「Play.Goose」が活発に音楽活動を行っている。
Goose houseのファンのことを「ハウスメイト」と呼ぶ。
「Goose house」歴代メンバー
d-iZe・・・2010年6月(PlayYou.House)~2014年4月
竹渕慶・・・2010年6月(PlayYou.House)~2018年11月26日
齊藤ジョニー・・・2010年6月(PlayYou.House)~2012年5月26日,2013年4月2日~
工藤秀平・・・2010年6月(PlayYou.House)~(Play.Goose)
木村正英・・・2010年6月(PlayYou.House)~2011年12月
神田莉緒香・・・2010年6月(PlayYou.House)~2013年3月31日
関取花・・・2010年6月(PlayYou.House)~2011年1月
竹澤汀・・・2010年10月(PlayYou.House)~2017年2月
中村千尋・・・2010年10月(PlayYou.House)~2011年1月
マナミ・・・2011年10月~(Play.Goose)
沙夜香・・・2011年10月~(Play.Goose)
ワタナベシュウヘイ・・・2012年6月23日~(Play.Goose)
2-2.オリジナル曲について
3曲のオリジナル曲を聴いて欲しい
M-1.「光るなら」
「光るなら」はテレビアニメ「四月は君の噓」のオープニングとして採用された。恋愛ソングだが、サビの歌詞が応援歌のようにも聴こえる。『君だよ 君なんだよ 教えてくれた 暗闇も光るなら 星空になる 悲しみを笑顔に もう隠さないで 煌めくどんな星も 君を照らすから』のところが、昔、誰かを励ました言葉をそのまま返してくれたような、暖かい情景が思い浮かぶ。
M-2.「オトノナルホウヘ→」
「オトノナルホウヘ→」はテレビアニメ「銀の匙」のエンディングテーマとして採用された。 この曲は応援歌となっており、合いの手や、サビの終わりに三・三・七拍子の手拍子がある、とても盛り上がる曲だ。『君が歌えば 僕も歌うから(Yeah Yeah!!) うまくなくてもいい 君の声を聞かせて(Fu!!) ひとりひとりの音は違うから(Yeah Yeah!!) ヒカリが届かなくたって君を見つけるよ(Oh Yeah!!!)』のところが、どんな人でも良い、一緒に歌おう、という「Goose house」のやさしさや、音楽の楽しさを伝えているように感じられる。
M-3.「Sing」
「Sing」は「freebit mobile」のCMソングとして採用された。「Goose house」のことを表したような曲で、後に何度もリメイクされている。具体的には名前の由来にある、「1羽ではできないことも群れならできる」が体現されている。『僕らはまだ不完全で もろくてちっぽけな音だけれど 届けるよ このウタを この空に響いてよLet’s sing a song 僕の声も 君の声も 重なってやっとひとつのウタになる 届けよう その思いを この空に響かせてLet’s sing a song』のところが、一人一人はちっぽけでも、みんなで力を合わせれば素晴らしい音楽になるという、シンガーソングライター集団である「Goose house」ならではの歌詞となっている。
3.考察
1曲目の「光るなら」と2曲目の「オトノナルホウヘ→」は応援歌の要素が強い。3曲目の「Sing」は「Goose house」のコンセプトを表現した要素が強い。つまり、「Goose house」自体が音楽を楽しんでいる当事者である。
4.まとめ
「世界一音楽を楽しむ」とは、「一緒に楽しむ」ということであろう。ぜひ、「Goose house」の楽曲をたくさんの人に聴いて欲しい。