#41『夏の予感がする - Natuno-yokangasuru』



あわく身震い 朝雲り

鳴らす下駄の音鈴の歌



衣擦れ待てど 風は来ぬ

痛み入るほど君は眩しい



至りであれと枯らす声

ひぐらしにつんざくわホロロ



何を一体恐れて泣いている?

カサカサ茂みに 妬いた



夏の予感がほっぺた掠めたら

比べる暇さえも 無くなるほど謳え



寝ては起きてまた愛をして

くらり眩暈すらも 

夏に酔ったと言いたいのです



千切れた鼻緒の顔を見て 落ち込んで

ありがちな雨の夕時に 空いている

人混み 鬼の子手を引いて 隠れたら

錯簡的な思い出に 憧れて



されど明くる日は 柄にもなく知らん顔

途方に落ちた 月を見ている



未だに僕らは 塞ぎ込んであしらう青

わらべに咲いた 花を見ていた



すやすやと寝息の類

さんさんと降る光芒が

からからと鳴るかんざしに

この夏の情景を充たしていたり



夏の予感の輪郭なぞったら

並べる今さえも 忘れるほど謳え



飽きた呆れたも好きのうち

浮つく足取りも

夏に抱かれたと言いたいのです



秋がそわそわ待ち侘びて

幾年荒むのはココロ



あれは一体何処目指し消える?

ドタドタ遠くで鳴った



夏の予感が身体に越されたら

身の程知らずでいい 神様と轟け



足元 絡む手 後回し

重ねて一切合切もう

夏の終わりへ駆けて



夏の予感が弾けて潰えたら

せせらぐ川の瀬と

ざわめく木々が飛行



冷めやらぬ夏の尾を探せ

急かすな 刹那にも惚れ込め

どうしようもないほどに