#9『いとまごい - itomagoi』



サヨナラをしていたの サヨナラをするしかないんだ

サヨナラを見ていたの サヨナラをするしかないの?



さよなら何処へ行くの 

何も言わずに去っていくなんて 水の多めにも程があるでしょう

さよならと解けてゆく

肥大した思い出も言葉も全部 冷えてくのを見ていることくらい

さよならも淘汰してゆく

付けた足跡なんか数えてる この指に触れる手も減ってゆく

さよならを忘れてゆく

まるで落とした雫みたいに 冷たくていい 冷たくていいんだ



降る雨に打ちひしがれた背中に背負っていたんだ

ろくでもない面影

買い被った明後日に蒔いた種 枯れてしまったね

なんて一体 何を思っている?



サヨナラをしてきたのに サヨナラを出来なかったろ?

サヨナラをしていたの サヨナラをしてきたんだ



さよなら灯してゆく

何も言わずに去っていくなんて 水の多めにも程があるでしょう

さよならと解けてゆく

一人芝居 絡む愛ほど綺麗に出来上がっていくのが怖くて

さよならを後悔してゆく

付けた足跡なんか数えて 何になるのかなんて可愛げ無いわ

さよならを忘れてゆく

まるで落とした雫みたいに

触れたくても 触れられやしないんだ



フッと消える 真夜中の 月明りに誘われた蛍の光

そっと捨てる ゴミのように 冷えてゆく僕らの左手

掴んだ服の袖をまだ 離せないまま

震えた身体待たせては 夢を見ていた



さよならを溶かしてゆく

いつか逢えるわなんてあしらって 水の多めにも程があるでしょう

さよならを解かしてゆく

いつも積み上げた思い出くらい 残して行くのは優しさなのね?

さよならを溶かしてく

手が触れそうな距離に立てたって 意味が無いのはいつものことね

さよならをとかし終えて

貴方は冷えた雫のように 美しくて 温かい後世




音源2021






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