簡単に見えることこそ難しい

機械やコンピュータの性能が向上し、作業が楽になったことは事実だ。

田植えの様子をみても、明らかである。

音楽制作に於いても同様であり、幾つかの手順を踏まないと出来なかったことが、一つの機材やソフトに統合装備され、あたかも選ぶだけで「自動で出来上がる」様に見える。

それこそ「コンピュータを使えば誰でも作曲出来ますか」と云う良い質問を受けたことがある。

「Yesでもあり、Noでもある」と私は答える。

喩え話に「カレーライス」を良く使うのだが、レトルトパックのカレーを買ってきて温めてご飯にかけるだけで、十分に美味しい。電子レンジをつかえば、それこそボタン一つで「自動で出来上がる」様に見える。

しかし、その人が、或は食べさせたい相手が「本当に食べたい味」を一から作ろうと思うと、試行錯誤し乍ら地道な実験を経て「近づける努力」をしなくてはならない。

まして様々な要因を加味し乍ら(場合によっては人間関係も含めて調整しつつ)の作業である。「自動で出来上がる」訳はないのである。

得てして「簡単にみえることこそ難しい」のである。

楽器を演奏するときも「8分音符を8つより全音符を1つの方が難しい」のだ。

プロはそれをあたかも「簡単に見えるように弾いている」のである。

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