音楽デザイン専修1〜2年生対象の夏期特別講座として、今や大人気のクリス・ハートの先生でもある阿部あかね先生にボイスビルディング基礎講座をしていただいた。
あかね先生はボイスビルドアップのKnowHowを「A logic」として体系的に纏められ、後進の指導者育成にも励まれている。
本当に人として素晴らしい方で、教え子のシシド・カフカ、TEE、青山テルマといったアーティストが慕ってくるのも十分頷ける。
音デ特任教授の寺田康彦先生のご紹介で毎年本学に来ていただき彼此10年になるが、年々あかね先生ご自身がパワーアップしていると感じる。
また何人もの音デ生が公私ともにお世話になり、感謝の念で一杯である。
ボイスビルディングは所謂ボイストレーニングではなく、一旦壊し再度組み上げ直すといったイメージだ。
老子に「気を専(もっぱら)にし柔(じゅう)を致し、能く嬰児(えいじ)ならんか」と云う一節がある。
現代語に訳せば「精神を集中して身体を柔軟にし、赤子のようになれるだろうか」といった感じなのだが、さらに要約すれば「心身の開放」の追求だと私は考える。
あかね先生に更なる指導を受けたいと東京までレッスンに通う音デ生もいるが、彼女達の成長の様子をみていても「心身の開放」を強く感じる。
これが出来るか出来ないかで大きく違ってくるのである。同時に「心身の開放」はあらゆるものに通じるキーワードなのだ。
これは武道や茶道といった○道にも通じる。
ボイスビルディングに敢えて○道と名付けるなら「声道(せいどう)」だろう。
なかなか言い得て妙ではないか。
歌は呼吸の芸術とも云われるが、姿勢や所作に起因するあらゆる○道はすべて「心身の開放」の上に成り立つものである。
「歌が上手くなりたい」と云うキッカケから、あかね先生に習い、人間的に大きく成長した卒業生も多くいる。皆知らず知らずにこの「心身の開放」に気づかされた筈だ。
大変お忙しい先生だが、毎年音デ生のために倉敷に来てくださっている。本当に有難い。
音デ生よ、是非次のアクションは自分で起せ。
自ら「心身の開放」の重要性に気づき、そのコントロールするコツを掴んだ者は無敵となることだろう。
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